遊牧民の家"ゲル"とはなんぞや
前回の記事では、実際に体験できた遊牧民の仕事や、広大な草原ののんびりした暮らしについて書きました✍🏻
今回は、遊牧民たちが暮らすゲルについて書いていきたいと思います。
記事の目次
- 遊牧民の住居"ゲル"でのくらし
- ゲルに入ってみよう(内部構造)
- 移住生活とゲルの仕組み
◆遊牧民の住居"ゲル"でのくらし
これまでの記事で再三写真を載せてきたので、もうおわかりかとは思いますが…
遊牧民たちはゲルと呼ばれる移動式住居に住んでいます。パオという呼び方をされる人も多いですが、それは中国語での呼び方です。
これがホームステイで実際に宿泊したゲル。
太陽光発電のパネルや、懐かしのパラボラアンテナが備え付けられていますね。モンゴルで様々なゲルを訪れる機会がありしましたが、結構な確率でこうした装置が備え付けられていました。これによって、電気を発電して利用したり、電波をキャッチしてTVを見たり電話をすることができます。こうした装置は数年前からすでに導入されているらしく、遊牧民の近代化が進んでいることを感じますね。
遊牧民と聞くと、こうした機器を利用しない自然と共生する人たちというイメージを持っている人もいると思いますが、近代化の波はモンゴルの田舎にも着々と押し寄せているみたいです。
ただ、生活が完全に近代化しているわけではないので、自然と共生しつつも機器を活用して暮らすなんとも奇妙な光景を目にすることができました。
上の写真では、満点の星空とゲル、そしてメカニカルな装置たちというなんとも面白い一枚が撮れました。
ゲルというと、上の写真のようなまん丸な物を想像しますが、様々な種類があるそうです。
木が沢山あるモンゴル北部などでは、木材を利用したゲルが作られたり…
さらに、モンゴル人の中でも少数派ではあるが、北部の寒さが厳しい地域ではこのような先の尖ったゲルに住み、トナカイを飼っている人たちもいるそう。
それもそのはず、モンゴルの国土は日本の約4倍。
広大な地域であるために北部などの寒い地域ではトナカイが、南部の乾燥が厳しい地域ではラクダが飼われており、同じモンゴルの中でも、それぞれの地域の環境に合わせて暮らしや家畜の種類が変化しているんですね。
これはモンゴルの博物館で展示してあった図。モンゴルの中でも地域によって様々な特徴があることがわかる。
これだけ離れていると日本のように方言のようなものもあるらしく、モンゴル人でもそれほんとにモンゴル語かよ?!ってくらい聞き取れなかったり何言ってるかわかんないこともあるらしいです。
◆ゲルの中に入ってみよう
ではゲルの中身はどうなっているのか、実際に見てみましょう👀
ゲルの中 pic.twitter.com/nEF9kmXWYq
— だ。 (@DamalYsk) 2019年9月25日
ゲルの内部配置は基本的にはどこも似通っていました。出入り口が必ず南を向くように設置され、中央には必ずかまど(ストーブ)が置かれる。モンゴル語ではこれをゾーホと言い、神様が宿ると考えられている。そのため、かまどの火に絶対にゴミを入れてはならない。寒さの厳しい冬にはマイナス40℃にもなるというモンゴルにとって、かまどの火はそれほどまでに大切なものなんだろう。
かまどの上部にはこのように鍋を置くことができ、ここで調理を行ったり、湯を沸かしたりする🍴(炒める・揚げる・蒸す・茹でる..なんでもここで調理していた)火を焚く燃料としては、乾燥した家畜の糞や、薪が利用される。ホームステイ先では薪が利用されていたが、近所のゲルでは糞が使われていたので、もしかしたら薪はお金を持ってる家が使うんだろうか…🤔ちなみに、草を食べてる家畜の糞なので臭くはないから大丈夫🙆♂️
かまどからは煙突が伸びていて、天井の天窓から頭を出している。この天窓にウルフとい名前の布をかけたり外したりすることで、光の調節や雨が入ってこないようにできる。
かまどで火を焚き、調理をしているゲルの煙突からはもくもくと煙が立ち上り、なんともほっこりとした景色となる。
ゲルの骨組みとなる木材には家ごとに様々な装飾がなされていて、美しい。
最も奥の場所は神聖な場所とされ、大体祭壇が設置されている。近所の人がこの祭壇にお金を供え、手を合わせる姿も見ることができた。
写真手前にはTVが写っているが、ばっちりTVも見ることができる。
日本のドラマやアニメ(ナルトとかハイキューとか)が普通に放送されていた(もちろんモンゴル語だが…)
おじいちゃんは韓ドラが好きらしくて、夜ご飯の時は毎日韓ドラを食い入るようにみていた。笑 俺もモンゴル語は2mmくらいしかわからないが、なんとなくでストーリーが想像できて見てて面白かった😂
黄色のボックスの上には見にくいが電話があり、これで連絡を取っていた。
ゲルの天井部分の骨組みには色んなものを挟める。天井も収納スペースなわけである👏🏻一回、本をベッドに出しっ放しにしていたら天井に挟まれてた。笑どこやったっけ〜って探してたら天井に挟まってたみたいな事が頻発しそうだ。笑
太陽光パネルで発電された電気は、この蓄電器に貯められて、各種電化製品を動かしているみたい。停電したことは無かったので効率良く発電できてるのだろうか🤔モンゴルの日差しがえげつないのと、そこまで大量の電化製品を多用しないから丁度いい塩梅なんだろう。
電気もばっちりある。
洗濯機まであった😳
ゲルの中は、玄関から入って左側が男性の間、右側が女性と子どもの間となっており奥に行くほど上座となる。そこは日本と同じですよね。かまどの火は料理をする女性の間の方に向けて設置してあり、そうした設置からも男女分業の彼らの暮らしぶりが見て取れます。
客人は男性の間でおもてなしを受けるので、俺は基本男性の間で食事や睡眠をとりました。
ただ、伝統的にそういった位置関係はあるが、必ずしもそうしなければならないといった厳しい決まりがあるわけではなさそうであった。女性が男性の間のベッドに座ることもあったし、逆もしかりであった。
◆遊牧民の移住生活
遊牧民は家畜に与えるより良い草や、夏場は水を求めて移住生活を続ける人たちである。本来、1年に4回(夏場にもっと移動する場合もあるようだが)移動を繰り返していたそうであるが、近年は1年に2回しか移動を行わなくなったようだ。トラックやジープなどの普及によって、水や家畜用の草・食料などを得やすくなり、一度の移動の距離も短くなっているそう。
しかし、日本で考えたら一年で2回引っ越しするようなもんだからえらいこっちゃである。度重なる移住のために、ゲルは折りたたんで運べるテントのような構造になっています。ゲルは木とフェルトでできた住居で、骨組みはジャバラのようになっており、畳むことができます。
ちょうどYouTubeに骨組みを畳む動画があったので、是非見てみてください!こういうことか😳ってなりますよ。笑
この骨組みに羊やラクダなどの毛で作ったフェルト生地を被せていく形になるわけですね🤔
下には床板みたいなものやフェルトを敷きます。写真でも床板があるのがわかりますよね。玄関で土を落として、土足のままゲルに入る形になります。ただ、色んなゲルを訪問すると、貧しいゲルでは床の布があまりなくって土がむき出しになってるゲルもあったりしました。因みに、冬になると家畜の糞をこの床板の下に敷いて、地面からの冷気をシャットアウトするそうです。うんちってすげぇなぁ。
さて、写真に赤い矢印を書いておきましたが、色んなものがのっているこの四角い箱はアダブルという衣装箱で、家財道具のほとんどが中に収まるそうです。移動の際の荷物をできるだけ小さくしたい遊牧民たちの家財道具には、様々な工夫がみられてとても興味深かったです😳
草原には所々ゲルが建っていた形跡が見られました。
◆まとめ
移動を繰り返す遊牧民ならではの住居ゲルは、結構居心地の良い空間でした。昼はモンゴルの強い日差しを遮ってくれて涼しいし、夜はかまどで火を焚いて、フェルトの壁が暖かさを保ってくれる。住居は様々な土地の環境や文化を反映していて、非常に面白いものだなと思いました。
自分に子どもができて、夏休みの自由研究とか困ってたら一緒にもっと詳しく研究したら面白いな〜ってこれを書きながら思いました👏🏻笑
— だ。 (@DamalYsk) 2019年9月25日
今回ちょっと説明チックになってしまったので、羊を載せて緩和しておきますね🐏
ホームステイの話はもうちょっと続きます✍🏻
まだ全部書き終えてないですが、明日の朝の便で一旦日本に帰国します🇯🇵色々手続きを終わらせたら、次はインドだー🇮🇳
日本でモンゴル編を書き終えたら、ぼちぼち次はインド編になりますのでお楽しみに✨
とりあえず日本で寿司食うぞ〜🍣