【イラン旅】死体を鳥に食べさせる理由とは。ゾロアスター教の街ヤズド散策

どうも、今年は飛行機内で年越し予定の檀原です✈️

今回はゾロアスター教という宗教に触れながら、ヤズドという街について書いていきたいと思いますね!

 

◆砂漠の街ヤズド

 

僕のイラン旅の行程は、

テヘラン→マシュハド→イスファハーン→ヤズド→シーラーズ

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という感じです。(地図は適当にGoogle検索で拾ってきたやつなので矢印は関係ないです)

 

ヤズドは、砂漠の中にあるオアシス都市です。僕が思うヤズドの魅力は大きく2つあると思っていて、そのうち1つが砂漠の中のオアシス都市らしい独特な街並みだと思います。

 

⚫︎ヤズドの魅力1.オアシス都市ならではの街並み

 

ヤズドの旧市街と呼ばれる地域では、まさに砂漠の中にある都市の雰囲気を味わうことができます。

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あてもなく旧市街エリアを歩いてると、魅力的な路地がそこかしこにあって楽しい。
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歩いてると急にモスクが出てきたり!

砂色の街並みの中にあるモスクの青は映えますね😊
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雰囲気たっぷりの街の中に既視感のある遊具がでてきたり。笑
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上から見るとこんな感じです。

インドのジョードプルが、ワンピースのアラバスタみたい!!という話はよく言われますが、個人的にはヤズドの方がアラバスタ感に溢れてると思います。

歩いてたらクロコダイル一派がでてきそう!笑

 

ヤズドの旧市街エリアには、その街並みをいかしたカフェがたくさんあるのも魅力でした。

大抵のカフェやレストランにはルーフトップがあり、屋上で景色を楽しみながらご飯や珈琲を嗜むことができます。

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ラニアンな音楽が流れるこのカフェ、大変素敵でした…。
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出されたアイスコーヒーは激甘だったのですが、店員のお姉さんが美女美女の美女だったのでプラマイでいうとプラス。

檀原カフェ行き過ぎ問題についてですが、現地の人々の日常を垣間見ることが目的であり一切の他意はございません。

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一階の中庭スペースみたいなところは、ザ・オアシス感でした。
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1月にはモロッコに行く計画なんですが、一足先にモロッコのような風景に出会えてしまいました。笑

写真だけでも、ヤズドの街歩きの魅力は伝わるんじゃないでしょうか??

 

⚫︎ヤズドの魅力2.ゾロアスター教という宗教を感じる

 

イランではゾロアスター教という宗教が誕生した歴史があり、ヤズドには現在もその信者が暮らしていることで有名です。

世界史を専攻した人にとっては、聞き覚えのある宗教だと思いますが、あまりメジャーではないこの宗教は知ると面白いことがたくさんあるので、ゾロアスター教について学んでヤズドを旅すると、その魅力が倍になるかと思います。

 

有名人でいうと、映画『ボヘミアン・ラプソディ』で再び注目を集めたロックバンドクイーンのボーカルフレディ・マーキュリーゾロアスター教の家に生まれたゾロアスター教徒でした。

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本人が「曲に宗教的な意味は一切ない」と言っているそうですが。

 

また、結婚指輪の起源大手車メーカーの社名なんかもこの宗教からきています。

 

せっかくなので、皆さんにもゾロアスター教のなんたるかをちょっとだけ紹介したいと思います。

 

ゾロアスター教とはなんぞ

 

【起源】

紀元前6世紀/約2,600年前(諸説あり)

ここで大切なのが、キリスト教や仏教よりも古い宗教であるということです。ゾロアスター教の考え方は、後の宗教に影響を与えていきます。

 

【開祖】

古代イラン人のゾロアスター(ザラスシュトラ)が創始。

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彼は普通の人間で、神官の家に生まれて戦争で死亡した。

特別っぽいエピソードは、将来的に悪が滅び、善が勝つことを確信していたので、笑いながら生まれてきたという話くらいだそう。

 

【概要】

最高神アフラ=マズダを信仰する一神教

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また、火を最高神の象徴として大切にし、信仰するため"拝火教"とも呼ばれる。(テストに出る)

 

【教え】

善の神アフラ=マズダ悪の神アーリマンの二神が存在する。(ニ神が存在する世界観を"二元論的世界観"といいます。多神教っぽいですが、アフラ=マズダを絶対的最高神とする一神教です。)

この世の全ては"善と悪の闘いである"としていて、善神と悪神の闘いの場がこの世界であるとされます。

この世界が終わる終末期には、救世主が現れ最後の審判が行われて、悪の神アーリマンが敗北するとされています。最後の審判の際には、生者も死者も選抜され、三徳(『善なることを思い』『善なることを語り』『善なる行いを成す』)実践した者は天国へ、そうでない者は地獄へと落とされてしまうとされています。

 

この終末思想・救世主・最後の審判・天国と地獄などの考え方が、のちに誕生するキリスト教などに大きな影響を与えたとされています。

 

《以下詳しい説明(忙しい人はオレンジ色が終わるまで読み飛ばしてね)》

ゾロアスター的世界観】

ゾロアスター教では、宇宙の始まりから終わりまでを1万2000年だとして、3千年ずつ4つのセクションに分けた。現在の世界は最後の3千年であるとしている。

 

0年~3000年
霊的な創造の期間。物質としての世界は存在していません
3000年~6000年

物質的な創造の期間。霊的な存在だった世界が、目に見え、触ることのできる物質的なものへと移行します。
6000年~9000年

アンラ・マンユ(アーリマン)が侵攻を始め、世界が善と悪の闘争の場となった期間。死と滅亡が生じました。
9000年~12000年

この3千年に現代が含まれます。預言者ゾロアスターが生まれることから始まり、最後の審判で終わります。

 

ゾロアスター教において、人間は自由意志を持ち、善か悪かを選択できる。としています。例えば、真実を話すか嘘をついてしまうか。なんてのも、善か悪かを選択する場面だとされる訳です。そのため、人間も善神と悪神の闘いに加わっていると考えられています。ここで悪サイドについてしまうと、終末期に地獄の業火に焼かれるハメになります。

 

【創世記(この世界の始まり)】

・この世界が成立する時に、善神アフラ=マズダは光・生命・真理などを選択し(創り出し)、悪神アーリマンは闇・死・虚偽などを選択(創り出し)した。善神アフラ=マズダが創り出した世界ではあるのだが、アーリマンが闇や死を創って攻撃してきたことによって正しく清らかなものだけでなく、苦しみや嘘も存在する世界となった。昼と夜の移り変わりも二神の闘いだと考えられている。

 

最後の審判の際には、天国へと向かう"チンワト(選別者の)橋"がそれぞれに架けられるのだが、生前に善行を積んだ者には広く丈夫な橋が、そうでない者には狭く不安定な橋が架けられるので、悪を選択してしまった者は橋から落下し地獄へと落ちて消滅してしまうとされる。

(最後の審判には諸説あるようで、世界が一度焼かれてしまうが、善を選んだものだけが熱さを感じず生き残ることができるという説もある)

 

【後世への影響】

①結婚指輪

ゾロアスター教のシンボルである下の写真のレリーフが、今日の結婚指輪の起源ではないかと言われています。(一説によるとね)

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翼の中央にいるのがアフラ=マズダ。アフラ=マズダが手に持っているのが、契約を意味するリングなんですが、これが結婚指輪の起源となったというお話があるそうな。
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解説を写真撮っておいたので、英語できる人どうか詳しく翻訳してくださいな。

 

②自動車メーカー"マツダ"の社名

車にうとい僕でも知ってる自動車メーカーのマツダ。この社名もゾロアスター教に由来するそうです。

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マツダのロゴの写真ですが、勘の良い方はピーンときたんじゃないでしょうか?

英語表記がMATSUDAじゃなくてMAZDAなんです。

YouTubeとかでマツダの車のCMとかを見てほしいんですが、最後にロゴが出るタイミングで

『マァズダァー』

って言ってるのがわかるかと思います。

実は社名を決める際に、当初はMATSUDAにしようとしていたところ、

 

そんな日本名由来で発音しづらい社名じゃ海外で覚えてもらえん!!

 

となってしまい、頭を抱えた首脳陣。

そこに

古代イランの宗教に、"アフラ=マズダ"っていう神がいるらしい!!しかもその神は善の神らしいぞ!!

という話が転がり込んでくる。そりゃあいい!ということで、英語風にMAZDAとなった。なんて逸話があったりするそうです。

遠い日本の社会にも影響を与えてきたんですね。

 

◆鳥葬が行われた"沈黙の塔"へ

 

さあ、長々と解説をしてしまいましたが、意外と結構重要なゾロアスター教の信者が多い街がここヤズドなわけです。

ゾロアスター関係の観光スポットを巡ろう!というわけでございます。

 

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ヤズドで宿泊したfriendly hotelWi-Fiが地下に届かない以外は、いつもチャイ飲み放題だし中庭も綺麗なので素敵な宿でした。5ドルで朝食付きなのでお安いかと😌✨

 

途中までは出会った日本人のキミヒコくんと一緒に行動します。
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ヤズドにもモスクがあります。

ここのはなんか長細いタイプっすな…
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天井は星がいっぱい。

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街にモスクがある光景って素敵だよな〜、日本人でいう寺がめっちゃあるみたいな感覚なんだろうけども…うらやましい…

 

異教徒でも見学可能なゾロアスター教寺院アーテシュキャデへ。この中には1500年燃え続けている聖火がある。

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こじんまりとしてるけど綺麗。
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レリーフ発見!!

 

そして

 

 


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聖火!!!

 

ただの火や!!!!笑

 


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キミちゃんに撮ってもらった。ゾロアスター教の聖火とのツーショットを羨ましがってくれる人は少ないだろうな…

個人的には結構嬉しかったのでよし。

 

サクッと聖火を見た後は、お互い目的地が違うので別々のルートに分かれる。彼とはまたシーラーズで合流する約束をして、ヤズドではここでお別れとなる。

 

僕は"沈黙の塔"と呼ばれるゾロアスター教関係のスポットへ向かう。

ゾロアスター教死体を塔の上に置いて鳥に食べさせる鳥葬という方法をとっていたことが有名である。(ゾロアスター教では、神聖な火や土、水なんかを遺体で汚すことを嫌ったため)

 

沈黙の塔とは、まさにその鳥葬が行われていた場なのだ。

 

バスを活用して、イラン人に聞いて回りながら向かうとそんなに苦労なく辿り着くことができた。

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おぉー、、沈黙の塔の麓には集落跡があり、これもまた良い味をだしている。
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完全にダンジョンの入り口。
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中からの視点もなんか雰囲気しかない。

 

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こちらが沈黙の塔。塔は2つあるので、頑張って2つとも登ります💧

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体力的なことも考えて、先にでかい方を攻略。
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向かいの低い沈黙の塔が眼下に。

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集落跡もこんなに小さく。
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この穴に死体を設置して食べさせていたのか…

こうしてみるとあっけないけど、実際に鳥葬が行われていた時はすざまじい光景が広がっていたのだろう…


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もう一つの塔もテッペンはおんなじ感じでしたね。

1930年に鳥葬はストップしてしまったそうです。ヤズドにおいては、鳥がついばんだ肉片を街にこぼしてしまうため、衛生的に悪いということで取りやめになったらしい。

インドのムンバイにもゾロアスター教徒が多いそうなんだけど、ムンバイの都市化が進んで背の高いビルが増えたことによって、塔を上から見下ろせてしまう建物が増え、鳥葬が見えてしまうという理由でストップしているという話も聞きました。

 

言ってしまえば、沈黙の塔なんて今はただの塔なんですが、ゾロアスター教の考え方や歴史に興味を持って学ぶいいきっかけになる場所だと思います。

 

ヤズドをはじめ、宗教や文化について学ぶことで面白みが増す街はたくさんあると思うので、興味を持って勉強しながら旅を続けていきたいなぁと思った次第です。

 

さて、次回は最後の街シーラーズについての話になります。

2週間のイラン旅もいよいよ終焉ということで、イランのまとめと次の国をお楽しみに🙌🏻