バックパックを盗まれながらタージマハルを見た日
どうも。現在このブログの2つくらい先の街で旅を続けています。
もうあと1週間でインドともさよならかと思うと、普通に寂しくなってきました…。
日本は冬がやってきて寒さがえげつないみたいですが、インスタでもつ鍋や各種出汁のきいた美味しそうな投稿を見るたびに日本食をがっつり食べたい欲が暴れまわっています。
◆寝台列車でアグラに向かったのだが…
最高すぎたアムリトサルでの生活はあっという間に過ぎてしまい、すぐに出発の日がやってきました。列車は16時ごろに出発なので、昼飯を済ませて黄金寺院で最後の時をボーっとすごし、大好きなチョコディップソフトを食べ納め、駅へと向かいました。
列車は時刻の30分前に着くという、これまたインドとは思えぬ時間にホームにやってきたので早々と乗り込むことができた。
今回は2Aクラスという結構いい席を取ることができ、2段ベッドの上段でゆっくりすることができた。
アムリトサルでは結構ゆっくりと生活できたはずなのだが、なんか列車に乗り込むと眠気が襲ってくる。布団をかぶってうとうとしながら、夢と現実を行ったり来たりしてると、いつの間にか眠ってしまった。
目が覚めると朝の7時になっていた。あと1時間ほどでアグラに到着する時間だ。
トイレを済ませ、一番下段のベッドの下に詰め込んでおいたバックパックを取り出そうとすると…
あれ…
ない…
バックパックなくなっとる…
いやいやそんなはずはない…と、必死にベッドの下をガサゴソ探していると、1段目に寝ていたおばあちゃんが、どうしたの??と眠そうに聞いてきた。
ごめんおばあちゃん起こしてまって…
でもそれどころやないんやて!!!!
ここに置いといたバックパックが無くなっちゃったんよ!!
と言うと、
私らが乗り込んだ時、ここの下にはなんも入ってなかったよ??
はへぇ…??
おばあちゃんは俺が乗り込んだ駅からおよそ2時間後のところで乗車したらしいのだが、その時にはすでにバックパックはなかったらしい…
おばあちゃんや、近くのインド人の若者も手伝ってくれて一緒に探したのだが、ないものはない。
インドには色んな人がおるで、気をつけないかんのよ…。インドの中でも経済格差が大きくて、貧しい人からしたら外国人は格好のターゲットやから。今度からはチェーンかなんかで防犯せなかんよ。
と、至極真っ当なことを言われ、いえぇ〜〜す…😩😩としか言えん日本人。
インドでしばらく過ごしている間に、思ったよりは危険でないインドのイメージが定着し、さらに2Aクラスという比較的裕福なインド人が乗り込む車両ということで、完全に油断していた…
ここはインドなのだ。何が起こっても不思議でない。
起きてしまったことはすべて、自己責任だ。
しかし、幸いにも一緒に探してくれた若者がアグラで降りるそうで、荷物紛失の手続きをしてくれ、さらに電話番号を教えてくれてアグラで困ったらいつでもサポートするから電話してくれ!!と親切にケアしてくれた。
彼はゲストハウスへのトゥクトゥクもぼったくられないように一緒に乗り込んで手配までしてくれた。
なんて優しいんや😭
さっきまでバックパックをパクられて、インド人め…ってなってたのに、数分後にはインド人の優しさに心を打たれていた。
1日の中で色んなことが目まぐるしく起きて、色んな感情が波打ち、どう整理していいかわからなくなる。
これがインドだ…。
まあしかし、よくよく考えればバックパックの中身は冬服や日用品なんかばかりだったので、インドで買い足せば旅は全然続けることができる。
貴重品の入ったリュックを枕にして寝ておいて本当によかった😭
◆トゥクトゥクのおっちゃん
色々と助けてくれた彼はゲストハウスへの道中で降りて家に帰っていった。まじありがとう…
トゥクトゥク運転手のおっちゃんと2人きりになると、運転手らしくいつもの調子で色々話しかけてくる。
日本人か?
アグラは初か?
インドにはどれくらいいるんだ?
トゥクトゥク運ちゃんのテンプレである。
まーた、ツアーを組んでやるとか、一日いくらだとか言い出すぞ〜こんな時に…と思っていると、
俺は日本人観光客を何人もツアーに連れてったことがあるんだ。みてくれ。
と言って、一冊のノートを手渡される。
そこには、彼にツアーに連れて行ってもらったらしい日本人観光客たちのレビューが書かれていた。
インド人は信用できない人が多いですが、この人は別でした!適正な価格で、行きたいところを取り入れてツアーを組んでくれました!!
彼の日本語を学んで話そうという姿勢が素晴らしく、面白かった!日本のことについても知ろうという姿勢が素晴らしい。もし、アグラでツアーを組もうと考えてる方は、彼を頼ってみるのが良いと思います。
などと、非常に好感の持てるレビューの数々が書かれていた。
なるほど…うまいな…
インドでは、Uberという配車アプリが発達してきており、アプリ上で目的地を設定すると近くのタクシーが迎えに来てくれる。
やや割高ではあるが、通常の相場をもとに金額が表示される上にぼったくりがない。ちゃんと目的地に連れて行ってくれる。ということで、ぼったくりの多い都市部では重宝する。
わざわざトゥクトゥクのおっちゃんと値引き交渉をしたうえで、乗りながらちゃんと目的地に向かっているか確認するめんどくささがまったくないのである。
トゥクトゥクの運ちゃんたちは、今までみたいに無知な観光客をぼったくろうとすればするほど、客層がUberに流れてしまうのである。
そのため、ぼったくらず(多少ぼったくりの節はあるかもしれんが)にきっちり客を満足させて、その感想を書いてもらった方が儲かる。ことに気付いたのだろう。
時代の変化、技術の変化によって既存の勢力の在り方が変わっていくのは興味深いです。
ただ、感心こそすれど別に自分のペースで周りたいのでさっさと断ってしまう。
ここでまた驚きだったのが、すぐにそうか。といって勧誘をやめたことだ。
他の街ならまず間違いなくあと15ラリーくらい会話を続けないと諦めないところを、すんなりと引いた。アグラという街、さすがに一大観光都市なだけあって、色々と進んでいるのかもしれない…
そんな運ちゃんに落ち込みながらバックパックがパクられた話をすると、
まあ、一旦バックパックのことは忘れるんだ。せっかくアグラに来たんだから、アグラを楽しみなよ。
と、心に染みる良い言葉をいただき感銘を受ける。
ただ、服が無くなってまったんは大変だ。アグラは寒いからな…
たしかに、朝のアグラは想像以上に寒く、早急に上着やら何やらの準備が必要と思われた。
よし、ゲストハウスに行く前に服屋によってやろう!!
おや…?!運転手のようすが…?!
地元のバザールに行くからいいという僕の言葉は強引なインド人の鼓膜に跳ね除けられ、気付くと結構高そうな服屋に連れてこられていた。
またやられとるがな…
まあしかし、アグラに来たばかりでバザールがどれだけ発達しているかもわかんなかったし、パンツや靴下だけでもあったら儲け物だと思い、とりあえず見るだけみてみることに。
実はアグラの滞在時間は一泊だけ。翌朝にはバスで出発しようと考えていたので、観光のことも考えると結構時間がないのだ。
店内のおばちゃんがあれやこれやと紹介してくる中で、あるあったかいジャンパーを欲しくなった。これから極寒のイランに行く身としては、絶対に必要な物であるし、なかなかこんなにあったかい物を今まで街のバザールで見たことがなかったからだ。
いくらだ。と聞くと
8,000ルピー(13,600円)よ。
とおばちゃん。
たけぇよ💥💥💥なめとるんか💥💥💥
質は悪いがガンジーTシャツが1枚120ルピーだったことを考えると、頭おかしいくらい高い。
高すぎ!!!!と言って、パンツや靴下を見せてもらう。パンツは3枚1800ルピー(3,060円)だとかいいやがる💥💥
おばちゃんいわく、ジャンパーは特に良い材質のやつを使ってるからしゃあないらしい。いや、にしてもやろ…。
まったく買う気がなくなりTシャツを探してると、
OK..!ジャンパー買うならそのTシャツタダでいいよ‼︎
と言い出した。
いや、それでも8,000はクレイジーだ!!
なら7,500!!
高い!!
7250!!
アホか!!
ならいくらなら買うんだ!!
む…っ
困った…安いTシャツ程度なら相場感覚はついてきたが、そこそこしゃんとしてそうなジャンパーの相場はいくらなんかまったくわからん…
とりあえず、めちゃくちゃなこと言って諦めさせよう…
パンツ3枚と靴下、あとTシャツとジャンパーこみで5,000ルピーなら買う!!!
(5,000ルピーは8,500円ていど)
もはやこの時には、バックパックを失った衝撃と、早く装備を揃えなければならないという焦り、おばちゃんの怒涛のトークで正常な判断ができなくなっていた。
おそらく、安物のジャンパーなら1000か2000ルピーほどあれば買えると思う。もっと安いかも。
おばちゃんはそれでもめちゃくちゃゴネて、7,000で!!と粘ってきたのだが、もはやその時には僕も絶対に譲れなくなっており、結局5,000でジャンパー、パンツ、靴下、Tシャツをゲットした。
…というか、させられた。
今も思う。
なぜあの時無理矢理にでも店を出て他のバザールを確認しに行かなかったのかと。
不測の事態が起こった時にこそ、冷静沈着になる必要があるが、そんなん無理だということを悟った。
アグラで仲良くなった日本語ペラペラのインド人によると、デリーのユニクロでジャケットが4,000ルピーもした。という話を聞いたので、もしジャンパーの質が本物だとしたらそこそこ適正価格だったのかもしれない。
また、イスラムかヒンドゥーかどちらか忘れたのだが(恐らくイスラム)、その日初めての客はその日1日の商売が上手くいくかを決める重要な客だから、なんでもいいから買ってもらわなければならない。という考え方があるのを聞いたことがあるので、もしかしたら安く売ってくれた可能性も微粒子レベルであるかもしれない。
とにかく、アグラに到着してからというもの、本当に散々な目にあった。
◆失意の中見上げたタージマハル
そんなこんながありながらも、ゲストハウスに転がり込み、近くのバザールを物色して最低限の日用品を午前中の間に確保することができた。
午後からは、アグラといえば!そしてインドといえばお馴染みのタージマハルへ。
正直、こんなメンタルで見るタージはさぞや曇って見えるのだろう。というだいぶ後ろ向きな姿勢で向かったのだが、タージマハル…
凄かった…感動した…✨
事前にミニタージを見てきたからということも関係しているかもしれないが、その壮大さには度肝を抜かれた。
この巨大な建物が王妃のお墓であるということ…
そして、ジャハーンはさらに黒いタージを建てようともしていたこと…
なにより、肉眼で見て、実際に歩いた時の迫力…‼︎
多くの観光客が集まる所には、やはり相応の理由があることを痛感。
正直、写真は死ぬほど見たことがあるのであまり期待していなかったのだが、一回きりの人生のうちに、ここに来れて良かったと感じることができる場所であった。
タージの凄さに心の中から浄化された気になって、ゲートを出ようとしたのだが、しっかりとトークン(入退場券みたいなもの)を無くして罰金100ルピーをとられたのであった。
タージに行っても、心は浄化されるが不運の連鎖は断ち切れなかった。